フェアレディZと言えば、セントラル20。
かつての日産ワークスドライバーとして、「Zの柳田」あるいは「雨の柳田」の異名をとった柳田春人氏のショップだ。柳田氏と言えば、初代フェアレディZ(S30)で大活躍したレーシングドライバー。そしてご子息は現在も日産ワークスドライバーとして活躍する柳田真孝選手。親子二代にわたるレーシングファミリーでもあり、「Z遣い」でもあるのだ。現在、柳田氏はレースを引退したものの、フェアレディZにかける熱い想いは、今も昔も変わらない。お店に集まるZフリークたちとツーリングやサーキット走行を楽しんでいるのだ。そんな柳田氏の気さくな人柄か、毎回、セントラル20のイベントには多くのZフリークが集まるという。
もちろん、セントラル20がリリースするフェアレディZ用パーツは、全て柳田氏が吟味したアイテムばかり。正真正銘の「Z遣い」の手によるものだけにそのクオリティは高い。最新型のZ34に対しても、柳田氏の想い入れは強く、すでに当サイトの動画コーナーでもお伝えしたとおりだ。今回は、そのセントラル20がプロデュースしたZ34に試乗する機会を得たので、報告しよう。
Text: Shunsuke Takeuchi
Photo: Zcar-WORLD.net
トータルコーディネイトの内外装
何はともあれ、エアロパーツが目を引くセントラル20のZ34。特に、リアバンパーにデザインされたスリットとダクトホールの存在感が際立つ。抜き去られた際には、一目でそれとわかるだろう。このエアロパーツは4つのパートで構成されている。フロントバンパーは、ノーマルよりも7cm延長された現代版のGノーズバンパー。クルマ全体のバランスをうまくまとめたせいか、間延び感や違和感は全くない。サイドには、前から後ろに流れるようなラインを意識したサイドボーダーを装着。リアには前述の存在感抜群のバンパーが装着される。このリアバンパーだが、センター部にあるリアフォグがスマートなデザインのものに変更されていた。純正は、ほぼ正方形のとって付けたようなイメージだが、これはなかなかお洒落なリアフォグだ。ルノー純正品の流用だという。また、リアゲートには専用のスポイラーを装着。存在感のあるリアビューに相応しい、シンプルなリアスポイラーでバランスを取っている。全体的には、Z34が持つ、流れるようなラインを活かしたデザインといえるであろう。
インテリアでは、柳田氏の細かいこだわりを感じさせるアイテムがラインナップされている。リアゲートを空ければ、Z sportのロゴが入ったトランクマットが目を引く。また、運転席、助手席の足元にも同様のフロアマットが装備される。これらは、ドイツのHebu(ヘブ)社とのコラボレーションによりZ34専用に開発されたアイテムとのこと。
一方、シートはホールド性が高そうなカーボンシェル構造のリクライニング式バケットシートが奢られている。このシートにもZ sportセントラル20のロゴが刺繍されている。このロゴはシート背面にも刺繍されているので、ご覧のようにリアハッチをあけるとロゴが目に飛び込んでくるという心憎い演出がなされている。
ワインディングからサーキットまで
メカニズム面を見てみよう。
エンジンは、吸気系に吸入空気量を大幅に増大させるオリジナルのインテークパイプと輪クリーナーが装着されている。また排気系では、排気効率を高めたスポーツタイプのメタルキャタライザーに、4本出しのステンレスマフラーを組み合わせている。
さらに、油温の上がりやすいZ34のために、大き目のエンジンオイルクーラーが装着されている。サーキットを全開で走っても問題ないとのことである。
シャシーでは、オリジナルの全長調整式の車高調整式サスペンションを装着。もちろん、減衰力調整は可能で、前後10kのスプリングを組み合わせている。
さらに足元で目を引くのがオリジナルのブレーキシステムだ。フロントは6POTキャリパーにφ370の2ピースローターの組み合わせ。リアには4POTキャリパーとφ355の2ピースローターが奢られる。
タイヤはフロントに245/45-19、リアに275/40-19のダンロップSPスポーツを装着。ホイールは5本スポークのセントラル20オリジナルの組み合わせだ。
しなやか、そしてスムーズな走り
ホールド性の高そうなシートに身を沈め、いよいよ試乗だ。アイポイントはノーマルよりも低めの設定で、いかにもレーシーなポジション。
ちなみに試乗車は7速AT。「新型ZのATは凄くいいよ。マニュアルモードで楽しんでみて」と柳田氏のアドバイスでマニュアルモードをチョイスした。
走り出して、まず感じるのが乗り心地の良さだ。前後10kというスプリングレートから想像する乗り心地とは全く異なる。ありきたりの表現だが「しなやか」という印象で、フリクションの少ないダンパーはスムーズな脚の動きを確保している。また、前後スプリングと減衰力のマッチングもとれているようで、妙なピッチングもなく乗っていて気持ちが良い。以前、試乗したノーマルのZよりも、むしろ乗り心地は良いと思える仕上がりだ。
一方、ペースアップしてワインディングを攻めてみれば、スポーツサスペンションの本領発揮だ。ロールもしっかりと抑え込まれ安心してコーナーを走ることができる。特に好印象だったのが、過度にクイックな動きをしないこと。ステアリングを操作すると、ドライバーの感覚に自然な感じで旋回を始めてくれる。むしろ、ノーマルよりも素直な印象でさえある。
ところで、ノーマルの場合、自動車メーカーの設計基準や長期間にわたる耐久性を確保しなければならない。このため、様々な制約条件の中で乗り心地と操安性の両立をはかっているのだが、やはり限界はある。しかしながら、ひとたび工場の門を出たアフターの場合は、こうした制約条件から開放される。このためダンパーサイズをアップすることも可能でゆとりが生まれる。きちんと煮詰められたサスペンションキットであれば、ノーマルよりも乗り心地も良く、走りも優れている場合が多い。スポーツサスペンションの乗り心地が悪いというのは、もはや昔の話なのかもしれない。
ブレーキは、箱根あたりのワインディングでは充分すぎる性能なのであろう。特に、効きすぎるといったネガティブな部分はなく、これも自然な感覚だった。サーキットでこそ、本領を発揮するブレーキシステムなのかもしれない。
さて、エンジンだが、これが意外だった。以前試乗したノーマルのZ34は6000回転以上の伸び感がなく、振動も大きなものだった。ところが、今回試乗したセントラル20のZ34は、高回転域でもスムーズに吹け上がってくれる。この点を柳田氏に伺ったところ、「新型Zは、マフラーの設計次第で大きく変わる」とのこと。うまく設計すると、排気干渉の問題もクリアできて、振動も少なく音もいいマフラーが造れるそうだ。これは意外な発見だった。動画でも柳田氏自身が語っているように、サウンド面のチューニングも怠り無いようだ。常用領域では不快なこもり音もなく、高回転域ではスポーティーなサウンドに変化する。とりわけ、シフトダウンの際のブリッピングは快感ですらあった。
「Zの柳田」がプロディースした新型フェアレディZ
40代、50代の大人にこそ相応しい仕上がりではないだろうか。
高い次元でバランスされたチューニングは、このままコンプリートカーとして販売されても違和感はない。もちろん、全てのパーツと同じように組み込むのもいいだろう。あるいは、好みでパーツを選択するのもありかもしれない。
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